御入峯日記
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御入峯供奉日記 17 明神御拝、金*精明神御拝拝衍カ、御休、 愛染迄五十丁、八ツ時御着、御本坊 法塔院旅宿被仰付、門前茶屋ニ宿ス、 七ツ時ゟ愛*染堂内ニ而御沙法有、先達・ 年行事勤ル、本尊神變大菩薩左 ノ方、神變菩薩六十二才ノ御尊像、右 ノ方御母公まします、七ツ半頃御沙法 相済、 同十三日、雨降甚強風吹、天井越ニ而 六ツ時御出門、六ツ時愛染堂ニ而又御 沙法有、先達・年行事出役、直ニ 奥ノ院、苔*清水御成、六間四方ノ堂有、 又奥に九尺四方程成堂有、是を 西*行庵与云、西行ノ像有、御覧済 て御出立、廿五丁登、中木場御小 休、六尺四面ノ御茶亭立、又八丁程も 登、守屋、同御茶亭立、御小休、次ニ *金精明神こんしょうみょうじん:金峯神社の俗称。延喜式内名神大社。「金」は、古来この山を金脈のある山と信じられたことによる。金峯山の金鉱護持の地主神。鳥居は修行者四門の第二門、修行門。 *愛染堂:金峯山寺きんぷせんじの境内にある愛染明王が祀られている御堂。愛染宿は第70行所。 *苔清水:奥千本苔清水。金峯神社の裏にある谷間の渓流で、西行も歌に詠んだ清らかな名水。 *西行庵:西行が出家して間もない頃、俗世を避けこの庵で3年間を過ごしたという。
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