失われた鉄路をたどる5 男子?の心をくすぐる大型鋼鉄製構造物

ブリキの玩具が影を潜めた昭和40年代、世間では現役の蒸気機関車が絶滅寸前になっていました。鋼鉄製に魅力を感じる男子には残念な時代です。
上松町赤沢の森林鉄道資料館に行くと、1960年に引退した木曽森林鉄道の主力蒸気機関車ボールドウィンと対面できます。D51のような「これぞ鋼鉄製」と言わんばかりのゴツゴツ感はなく、軽便鉄道のレール幅762ミリに合わせ小ぶりで、形もオシャレです。男女問わず、多くの鉄道ファンが魅せられるのも納得できます。
ともあれ、このシリーズは「失われた鉄路をたどる」シリーズですので、機関車のような“モノ”ではなく、鋼鉄製の“遺構”を探し歩いてみましょう。レールではありません。もっとワクワクする大きさの構造物・・・そう鉄橋です。
信州の深い谷あいに鉄路敷くため橋は必需品でした。しかし、廃線鉄橋の多くは外されて売却されてしまいます。そのため、橋台や橋脚しか残っていない場合が大半です。そんな中で、多数の鉄橋を見られるのが木曽森林鉄道です。
ボールドウィンが木材を満載した貨車を引きながら渡る写真(夏展にも展示します)、で有名な鬼淵鉄橋は、中央線の上松駅から歩いて10分ほどの場所にあります。今では、隣接する道路用の鉄橋が一回り大きいため目立ちませんが、保存運動の甲斐もあり、1915年竣工の勇姿はいまだ健在です。
大桑村野尻から阿寺渓谷を上ってゆくと、山あいの景観に溶け込むような小さな鉄橋が目に入ってきます。歩道橋程度の幅しかない、いかにも「林鉄」らしいサイズです。
「林鉄」には、道路に転用されているものも含め、他にも鉄橋が残っています。鋼鉄製大型構造物に惹かれる男子だけでなく、鉄道女子も木曽森林鉄道を訪ねてはいかがでしょうか。避暑にもよい季節です。
※当館の「夢をのせた信州の鉄道」展は、7月9日(土曜日)〜8月28日(日曜日)