古文書公開日記23-宮坂武男城郭研究資料の公開-
2016年に宮坂武男氏により寄贈された城郭研究資料がこのたび3年の整理期間を経て公開されました。総点数は2万点を超えます。
長野県は山国です。中世の山城は各市町村にかならず一つはある文化遺産です。宮坂武男氏は長年県内の小学校に勤務されるかたわら、40代頃から約半世紀にわたり県内全城郭を踏査されました。調査のためのノートには一つ一つの山城について詳細な情報が記されています。その土地の歴史や地名の由来などがびっしり詰まっています。縄張図という城郭の機能を平面図に落として図化したものや立体図も作成していますが、もっとも特徴的なのは、宮坂氏が美術教師だったという特性を生かした色彩図だと思います。縄張図や立体図をもとに、あたかも上空から鳥の目で広く見た「鳥瞰図」を完成させています。これにより、点で表されている山城が、城郭の山の尾根から谷まで、群という連続した構造物としてみる山城を全県にわたって調査をおこなったのは、宮坂氏以外にはいません。これにより信濃の山城研究を飛躍的に発展したといいます。何より、地域の一般市民にとって文化遺産を身近に感じることへの宮坂氏の功績は大でしょう。
1人の研究者が自ら踏査して県内すべて、そして隣県まで広げた城郭図を完成させた空前絶後の偉業です。
水彩画は脆弱なため公開は制限していますが、今年度末には宮坂氏の描いた城郭鳥瞰図をホームページ上にアップする予定ですのでお待ち下さい。