古文書公開日記72 法螺貝のある企画展
「山伏の 法螺吹き立つる 茂り哉」 正岡子規
いよいよ夏季企画展「山伏 佐久の修験 大井法華堂の世界」が始まりました。
オープニングに先立つ内覧会で、戸隠から山口輝文さんをお招きして、開会の成功を祈願していただき法螺貝の吹奏していただきました!
萌えるような青々とした草原で山伏の吹く法螺貝の音に耳を傾ける子規。この俳句のように、盛夏の訪れにふさわしいオープニングでした。
法螺貝は釈迦如来が法華経を説く際に使ったことからその音には説法の意味があります。大巻き貝を吹くことによって遠方に音を伝えます。修行者がこれを山中で吹くのは、猛獣を追い払うとともに悪魔を退けるためでもあります。日本ではもっぱら修験道の合図に吹かれます。「ほうら」ともいわれ、法螺の緒 (お) は螺緒 (らお・かいのお) といい、山中では救急用のザイルでもありました。また、螺緒はへその緒の象徴とも考えられ、険しい山岳へ立ち向かう山伏と母なる山とをつなげるものとして、修験道の独特の自然観を示すものとも考えられます。
このため戦場で駆け引きや進退の合図としても用いられました。采配や法螺貝のように呪術的なものといくさは密接不可分でもありました。
山伏展の展示作品にも法螺貝があります。
この法螺貝は真田幸綱(一説では真田昌幸)が武田信玄より拝領したものと伝えられています(真田宝物館所蔵)。
大井さんから寄贈いただいた史料群です。企画展に合わせて当ブログ「古文書公開日記」として少しづつ更新していきます(村石正行)。