古文書と向き合い、仲間と語り合う「長野県立歴史館古文書愛好会」
古文書愛好会の中心的な活動である「館蔵文書を読む会」は今年度も「大井法華堂日記」を読んでいます。「読む会」は、全8回中前半4回はグループ毎に分かれて読みを深め、後半4回は全体会での発表という構成です。9月1日の第5回目から全体会でしたが、コロナの第7波に見舞われ、医療非常事態宣言中ということもあり、1日開催が半日開催となってしまいました。班毎の読みを全体会での発表と質疑応答を通して、より確実なものに仕上げていくということが「読む会」で大切にしてきたことですので、やはり半日という時間は少なかったようです。会員もやや不完全燃焼気味だったのではないでしょうか。
愛好会の事務局としても、どうにか次回までにはコロナの感染警戒レベルが下がっていてほしいと祈るような気持ちでいました。きっと愛好会の皆さんも同じ思いだったことでしょう!そうした願いが届いたのか、9月29日の第6回目はやや感染状況も落ち着いてくれて、通常通りの1日開催ができました。この時の「読む会」の様子を見ると、皆さん本当に活き活きとされていました。各班の担当者が分担して調べてきたことを丁寧に発表し、それについて思ったこと、考えたこと、疑問等を大いに出し合い、読みを吟味している姿は「これぞ愛好会!」でした。
ある読みの場面では、発表班が地名についてわからないと全体の場で伝えると、会員から「私も最初わからなかったんだけど前の〇ページを見るとこれと同じなんだよね。『落』という字。」「だから『落合』だ」「そうするとほら、地図にもあるでしょ。」「『落合』なら近くていいんじゃない?」というように、前に出てきた文字から字を推測し、位置関係をみんなで地図で確かめながら確実な読みにしていこうという様子が見られました。また、時には「原文で確認してみます」とその場で事前に出しておいた実際の古文書を閲覧して確認することもあり、とにかく文書と向き合うことを大切にされている姿も印象的でした。このように皆さん真剣に議論しているのですが、その中で仲間とともに「古文書の読み」と「文字の背後にある世界観、時代観」を楽しんでいる空気感がとても心地よく感じました。
古文書愛好会は昨年発足20周年を迎え、今年の7月30日(土)には「長野県立歴史館古文書愛好会発足20周年講演会」を実施しました。コロナ禍ではありましたが、信州大学の山本英二先生をお迎えし、貴重なご講演を聴くことができました。また、この発足20周年の節目のイベントを通して、愛好会の歩みをふり返ることもできました。
この伝統の愛好会と「古文書を愛する姿勢」をますます多くの方に知っていただき、さらなる会員の増加と愛好会の発展を願っています!(文献史料課 大森昭智)