本目録に収録した筑摩郡北山村文書は、長野県立歴史館が平成6年(1996)に購入したものである。 北山村は、会田川中流右岸の山地に位置し、松本藩の慶安検地の際に会田町村から分村して成立した。享保10年(1725)までは松本藩領、それ以後は幕府領となり明治維新を迎えた。明治8年(1875)に会田村の一部となり、現在は松本市(旧四賀村)に属している。 村高をみると、享保9年(1724)には61石余で、「天保郷帳」では69石余である。 本文書は、長越村など周辺の村の年貢皆済状などが含まれていることから北山村の村役人をつとめた家に伝来してきた文書であると推定される。文書の年代は、慶安5年(1652)年から明治20年(1887)におよぶ。文書の内容は、田地や林の質地証文・譲り証文など土地証文の数が多い。写しであるが慶安検地の下ケ札が2点、明暦元年(1655)の北山村の新田検地など17世紀の土地台帳もみられる。また、この地域の産物である煙草に関わる文書も数点見られる。 当館所蔵の関連文書として、筑摩郡北山村新田文書(5-3/本書所収)のほか、近隣の筑摩郡井苅村文書(5-12-4/本書に収録)がある。また、かつて北山村の本村であった「会田町村」に関連して、筑摩郡会田宿本陣横内家文書(5-17)と筑摩郡会田宿問屋横内家文書(5-21)もある。 |