解題 |
- 本目録は、1989(平成元)年3月に発生した五竜遠見尾根雪崩裁判記録関係の資料にあたる。本資料は、この雪崩の犠牲となった松本蟻ヶ崎高校教諭酒井耕氏の遺族が、収集したもので、酒井教諭の旧同僚・知人らに相談の上、当館へ寄贈された。
-
1989(平成元)年3月、松本蟻ヶ崎高校など長野県内の高等学校5校の山岳部生徒を集めた「冬の野外生活研修会」が、長野県山岳総合センターの主催企画として遠見尾根付近で実施された。雪崩は18日に発生、指導に当たっていた蟻ヶ崎高校山岳部顧問酒井耕氏が死亡した。遺族は国家賠償法に基づき長野県に損害賠償を求め裁判を起こした。平成4年より同7年にかけて長野地方裁判所松本支部において裁判が行われ、裁判所は長野県側に注意義務を怠った責任があるとして原告勝訴の判決を言い渡し、終結した。本資料群の大半は、死亡した酒井耕氏の母三重氏が裁判の過程で収集したものである。他に、耕氏の人柄を偲ぶものや、追悼関連の資料も含まれている。 個人が蒙る不利益の観点から、証言、住所等はもちろんのこと、非公開とせざるを得ない性質の資料群といえる。ただし、資料の大半は歴史資料としての客観性を有し、また危機管理という観点では今後の教育活動に活かすことができる多くの教訓を含んでいる。行き場所を失い処分されてしまえば復元することは叶わない。裁判記録類等の資料群として保管することも当館の使命と考え受け入れたものである。
-
長野県立歴史館管理規則第6条(7)により公開にない。しかし、この処置は令和2年4月23日現在のもので、今後の社会情勢等により変更することもある。
- 本資料の登録番号(請求記号)は以下のとおり。
五竜遠見尾根雪崩裁判関係資料番号:G-19 資料番号:1
|