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県立歴史館30周年記念  所蔵品展「原始-開館30年のあゆみ展-」人?それともカエル?縄文人の精神生活をさぐる!

 富士見町藤内遺跡の「特殊遺構」から特殊な形状をした土器が出土しました。土器の口縁部に「タガ状」の凸帯が巡り、それに沿って20個以上の穴が穿たれています。考古学では、このような土器を「有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)」と呼んでいます。この土器の体部にはレリーフ状の模様があり、大きな図柄が2か所あります。それらを土器の正面(表)、そして裏面とみることも可能なようです。遺構出土の他の土器とは材質や焼き方がまったく違っていると言われています。発見者の藤森栄一氏は、2つの図柄を直感的に読み解き、生き物の体と手足のような表現のひとつを「踊る人」、円環状表現のひとつを「太陽」とみています。現在、国の重要文化財に指定されています。

 井戸尻考古館の講演会「甦る高原の縄文王国」(2002年)によれば、歴史学者の江上波夫氏は「踊る人」を「蛙(カエル)」に見立て、「動物意匠文」と大陸の新石器文化、特に農耕文化との関係を説いたと言います。またドイツのネリー・ナウマン氏は「太陽」ではなく「月」と見立てています。「踊る人」の腕と足は2本、腕は上に挙げるものと下げるものがあります。手指は3本。井戸尻考古館は、これを「半人半鮭(はんじんはんわ)」の精霊像と呼んでいます。

 藤内遺跡出土の「半人半蛙文有孔鍔付土器」(複製・当館蔵)を、この機会にじっくりご覧下さい。

【お詫び】

 当館企画展に展示した有孔鍔付土器(複製)の遺跡名表記に誤りがありました。

 正しくは「富士見町曾利遺跡」➡「富士見町藤内遺跡」になります。

 メモ用写真等、撮影された観覧車のみなさま、深くお詫びいたします。

 ※国重要文化財 藤内遺跡出土品の実物は、富士見町井戸尻考古館に所蔵されています。

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